台湾特許法32、41、97、116条に関する改正のお知らせ (改正案が5月31日に立法院で可決、7月施行予定) - 2013.06.03作成 - 遠碩專利師事務所
最新動向

お問い合わせフォーム

台湾特許法32、41、97、116条に関する改正のお知らせ (改正案が5月31日に立法院で可決、7月施行予定) - 2013.06.03作成


今年(2013年)1月1日から発効している現行の台湾専利法(特許、実用新案、意匠を含む)において、懲罰的損害賠償制度が削除されると共に、同一創作を以て両出願(特許出願と実用新案)を同日に出願することができるようになっており、また、実用新案権者は実用新案権を行使する際にあって必ず実用新案技術評価書を提示する義務が課されています。しかし、その懲罰的損害賠償制度の削除、同日出願の両出願間の権利関係、及び実用新案技術評価書提示義務の条件が不明であることにより、権利行使が困難であり、権利保護にも不利であると指摘されています。


台湾立法委員(国会議員に相当)らは、専利権の権利行使をより適切にさせることで権利保護を完全にすることを目的として、懲罰的3倍賠償の復活、同日出願に関する権利引続き説、実用新案技術評価書の提示義務条件などの専利法(特許、実用新案、意匠を含む)改正案を提出しました。同改正草案が5月31日付台湾立法院(国会に相当)にて可決、成立した。
今回の改正は、近日において公布され、来月(2013年7月)頃に施行されることが見込まれます。
以下に、この改正の要点をご紹介致します。

(一) 同日出願の両出願間権利関係について(専利法第32、41条の改正)
現行の台湾専利法第32条によりますと、同一出願人が同一創作を以て特許出願と実用新案登録出願を同日にして実用新案権を先に取得した後、特許出願が特許査定すべきと認められた場合、台湾知的財産局(特許庁に相当)は、特許権または実用新案権のいずれか一つを選択しよう(いわゆる「択一」)と出願者に通知し、且つ、特許権が選択された場合は、先に付与された実用新案権は最初から存在しなかったものであると見なされます。これにより、特許権を取得した場合は、実用新案権の取得から特許権の付与までの期間に、一旦侵害事件が発生したら、実用新案件権があるか否かが問題になり、権利者側に不利となる虞があります。

従って、「実用新案権は最初から存在しなかったものであると見なされる」という規定で起因する「権利行使の問題」を解決するため、かかる規定を「実用新案権は特許公告日から消滅するとみなされる」に変更すると提案し、立法院で可決しました。
この改正により、特許権を選択しても、前記のような「権利行使の問題」がなくなるようになります。

 

(二)懲罰的損害賠償制度の見直し(懲罰的3倍賠償の回復)(専利法第97条の改正)
専利法(2013年1月1日から施行)において、懲罰的3倍賠償の規定が削除されましたが、権利者側における侵害行為対策費用は膨大であり 、損害賠償額としてその損失を補填することができない議論があり、又、損害賠償の立証・計算が困難であるので、懲罰的損害賠償制度を導入すべきであるという意見が多く示されます。
立法委員らは、通常の3倍賠償の請求を認める要否について検討の上、懲罰的損害賠償制度の導入で、知的財産権をより有効に保護することができると推断し、専利法(特許、実用新案、意匠を含む)第97条改正案を提出しました。その後、立法院は懲罰的3倍賠償制度の復活という改正案を通過した。
この改正により、裁判所は、専利権者が侵害者の故意を立証すれば、最大で損害額の3倍までの賠償額を裁定することができるようになります。

 

(三)実用新案技術評価書の提示義務について(専利法第116条の改正)
現行の専利法第116条の規定によりますと、「実用新案権者がその権利行使を行う場合は、実用新案技術評価書の提示で警告を行わなければならない」と規定されています。しかし、実務上、実用新案技術評価書の提示が警告を行う前提要件であるか否かについて意見がばらばらであり、権利者が実用新案技術評価書の提示をしなく直接に警告書を発送することもあるので、実用新案権の権利行使に不安定となる虞があります。
従って、権利者が警告書を不当発送することを防止するため、「実用新実用新案技術評価書の提示で警告を行わなければならばい」を、「実用新案技術評価書の提示がない限り、警告を行ってはならない」に変更すると提案し、立法院で可決しました。
この改正により、実用新案権者が侵害容疑者に警告書を発行する際には、必ず実用新案技術評価書を提示すべきです。

 

以上、お気づき点、ご質問となります点、ご要望などございましたら、お気軽に弊所までお問い合わせください。




お問い合わせ

遠 碩 專 利 師 事 務 所  
Lewis & Davis Patent Attorneys Office 12 Fl. No. 290, Fuxing N. Rd. Taipei 10478, Taiwan
TEL:+886-2-2517-5955 FAX:+886-2-2517-8517 E-mail:このメールアドレスはスパムボットから保護されています。閲覧するにはJavaScriptを有効にする必要があります。